皆さんは、ガルバリウム鋼板について知っていますか?
ガルバリウム鋼板は錆びにくい上、耐久性・耐震性・耐熱性に優れています。このことから、屋根や外壁に使用するケースが増加中です。ガルバリウム鋼板には、こうした様々なメリットを持っています。
しかし、当然ながら知っておきたいデメリットも存在します。
まず、全くのメンテナンスフリーではありません。錆びにくいといっても、絶対に錆びないというわけではないのです。
次に、初期費用が高くなりやすいです。その上、メンテナンスコストも高めになります。そのため、何も考えずにガルバリウム鋼板で施工するのはおすすめできません。
それでは早速、ガルバリウム鋼板についての説明をしていきます。
合わせて、メリット・デメリットについても説明します。これからガルバリウム鋼板を選ぼうか迷っている方は、是非とも参考にしていただけたらと思います。
この記事の目次
ガルバリウム鋼板とは?
ガルバリウム鋼板とは、1972年にアメリカで開発された金属素材です。
その性能の良さから、メジャーな金属素材として多くのメーカーが採用しています。主に、屋根材や外壁材として選ばれやすい素材です。
ガルバリウム鋼板は、アルミ亜鉛合金メッキ鋼板と呼ばれることもあります。これはその名の通り、金属鋼板をアルミニウム・亜鉛・シリコンでメッキ加工しているためです。
もちろん、ガルバリウム鋼板は完璧な素材ではありません。実際、他の素材を比較すると劣る部分もあるでしょう。
しかし、それでもガルバリウム鋼板が選ばれているのには理由があります。錆びにくさ、耐久性・耐震性、耐熱性などの優れた部分があるからです。
特に、ガルバリウム鋼板を屋根材として使用するケースは、2017年以降トップシェアを誇るほどです。外壁材のみならず、屋根材として素材を探しているなら、ガルバリウム鋼板がおすすめできるでしょう。
ガルバリウム鋼板のメリットとは?
ガルバリウム鋼板のメリットは、以下の通りです。
- 錆びにくい
- 耐久性に優れている
- 耐震性が高い
- 様々なデザインに富んでいる
- 効率良く熱を反射してくれる
- 耐熱性に優れる
長年選ばれ続けているガルバリウム鋼板には、様々なメリットがあります。そのため、外壁や屋根にどんな素材を使用すると良いのか分からない時は、ガルバリウム鋼板の検討はいかがでしょうか。
それでは、以下でガルバリウム鋼板のメリットについて説明していきます。
錆びにくい
基本的に、金属系の素材と聞くと、錆びやすいのではないかと思う人も多いのではないでしょうか?
素材が錆びれば美観を著しく損なう上、様々な問題に繋がります。そのため、錆びやすい素材を使うのはあまりおすすめできないでしょう。
しかしガルバリウム鋼板は、金属素材なのに錆びにくいのが大きなメリットです。
もちろん、絶対に錆びないわけではありません。しかし、「性能が高い金属素材」であり、なおかつ「錆びにくい」というのは、他の金属素材と比べても選ばれ続ける理由になります。トタンやアルミなどと比べれば、格段の錆びにくさを約束してくれるでしょう。
ただ、錆びにくいといっても定期的なメンテナンスは必要になります。可能な限り美観を維持するためにも、メンテナンスを怠らないようにしましょう。
耐久性に優れている
ガルバリウム鋼板は、耐久性に優れている点でも選ばれ続けています。
ガルバリウム鋼板は、
・亜鉛メッキ鋼板が持つ「犠牲防食機能」
・アルミメッキ鋼板が持つ「耐久性」
以上の2つを兼ね備えています。
なおかつ、酸性雨にも強いのが大きな強みです。普段意識しにくいですが、長年風雨に晒され続けることによって、外壁は美観を損なっていきます。ガルバリウム鋼板にすれば、こうした酸性雨対策が自然にできるでしょう。
耐用年数はどのくらい?
ガルバリウム鋼板の耐用年数は、製品や周辺環境によって違います。そのため一概には言えませんが、基本的に10年~20年と長いのがポイントです。定期的にしっかりとメンテナンスを行い、錆びから始まる穴開きがなければ40年以上もたせることもできます。
トタンの耐用年数は5年~10年程度なので、いかにガルバリウム鋼板が耐久性に優れているかどうかが分かるでしょう。
耐震性が高い
ガルバリウム鋼板は、厚さ1mm~3mm程度の薄さしかありません。そのため、建物全体の軽量化を図ることができます。
このことは、建物にかかる負担を最小限に抑えることにつながります。圧倒的に薄い上に、軽量化によって高い耐震性を両立させられる。こういった点は、地震大国である日本の家屋にとって相性が非常に良いと言えるでしょう。
例えば、地震が起きた時を想定してください。建物全体が重いと、基盤となる部分が揺れの影響を受けやすくなります。そうすると、構造部分に大きな負担がかかってしまうと想定されます。
地震は、建物の耐久性を下げる要因となります。その負担を軽減できるガルバリウム鋼板は、非常に優れているといえるでしょう。
様々なデザインに富んでいる
ガルバリウム鋼板は、着色性が高いという特徴を持っています。
これは、様々なデザイン性に富むことを表しています。なんといっても、カラーバリエーションが豊富にあるというのが人気の一つであるからです。他では表せないような発色のカラーで施工してもらうことができるでしょう。
また、ガルバリウム鋼板は、他の素材では実現しにくい暗色カラーも存在しています。黒や紺などの暗色カラーにしたい人にもおすすめです。
こういった多種多様なデザイン性を誇っていることから、
・シンプル
・モダン
・都会的
・シャープ
・スタイリッシュ
・独特な雰囲気
など、様々なデザインに対応できます。
効率良く熱を反射してくれる
ガルバリウム鋼板は、熱反射率にも優れています。そのため、効率良く太陽光を反射することで、夏場の冷房の効率を上げることができます。
太陽光による外壁や屋根の表面温度は、想像以上に上がりやすいです。特に、夏場の日射量は非常に多いため、最も影響があります。夏場は、多量の日射量によって、表面温度はもちろん、屋内の温度も上がりやすくなります。そうすると、それだけ冷房の効率が悪くなります。
冷房の効率が悪くなるとどうなるのか?……日射しが強いと、室内が暑いため、さらに温度を下げて冷やそうとします。それではかえって光熱費が上がる原因になるでしょう。
しかしガルバリウム鋼板は、日射量が多くても効率良く反射してくれます。屋内の温度はもちろん、表面温度も上がりにくくなるでしょう。
そうして表面温度が上がりにくくなれば、冷房の温度設定を適正にして過ごすことができます。こうした日常的なランニングコストが抑えられるのも、ガルバリウム鋼板ならではのメリットです。
耐熱性に優れる
ガルバリウム鋼板は、耐熱性にも優れています。これは、素材に含まれるアルミニウムの含有率が高いためです。
実は耐熱性が高いことが、暗色カラーにできる秘密でもあります。
基本的に外壁材や屋根材は、暗色カラーを初めとする濃い色にすると、熱を帯びやすくなります。そして、どんどん表面温度が上がっていきます。すると、温度による収縮が起きやすくなるのです。
この時、耐熱性が高ければ問題ありません。しかし、耐熱性が低いと白色系の素材に比べ、塗膜や外壁にヒビが入りやすくな流のです。結果、建物自体の劣化速度が早くなります。
しかし、ガルバリウム鋼板は元々耐熱性に優れています。暗色カラーにしても、熱反射率に優れている上に温度収縮も起きにくいです。これは、耐用年数を延ばすことにも繋がります。
ガルバリウム鋼板のデメリットとは?
ガルバリウム鋼板のデメリットは、以下の通りです。
- 必ず錆びないわけではない
- 製品によって凹みやすく、薄く、フラットなデザイン
- 初期費用が高い
- メンテナンスコストが高め
- 見た目の好みが分かれやすい
上述した通り、ガルバリウム鋼板には優れた性能があります。とはいえ、それでも完璧な素材ではありません。
そのため、デメリットがあることも知っておく必要性があります。それでは早速、ガルバリウム鋼板のデメリットについて説明していきます。
必ず錆びないわけではない
確かに、ガルバリウム鋼板は錆びにくいです。しかし、全く錆びない、というわけではありません。
ガルバリウム鋼板を採用する上で特に注意したいのは、塩害です。
ガルバリウム鋼板は、錆びにくくても金属であることに変わりありません。そのため、塩による被害の影響を受ける可能性が高いです。塩害を受け続けると、錆が進行しやすくなります。海の近くなどの沿岸地域や、工場地帯などに家を建てる場合は十分に注意しましょう。
もしも、塩害を受けやすい地域にガルバリウム鋼板を採用した家を建てる場合。その際は、定期的にメンテナンスを行い、錆びがないかを注意深くチェックすることが大切です。
なお、本当にガルバリウム鋼板が錆びていた場合は、各メーカーで保証してくれるのが一般的です。
製品によって凹みやすい
ガルバリウム鋼板は割れにくいですが、代わりに凹みやすいというデメリットがあります。
もちろん、製品によって凹みやすさが変わるところではあります。しかし、基本的に外部からの衝撃に弱いので注意しなければなりません。厚みがある素材であれば、凹むことはあまりありません。ガルバリウム鋼板は薄いので、その薄さが逆に仇となる点です。
特に、フラットなデザインのガルバリウム鋼板は凹みやすい傾向にあります。それゆえ、周辺環境にも気を付ける必要があるでしょう。
たとえば、近くで子どもが遊んでいる時にボールなどを強くぶつけられて凹む。また、家具などを搬入する時にぶつかって凹む、なども想定されます。
もしも凹まないようにしたい場合は、ガルバリウム鋼板の製品選びが大切です。
中には波型のなどのデザインもありますし、厚みのある製品もあります。ガルバリウム鋼板にこだわるのであれば、製品選びからこだわりましょう。
凹んだら、必ず保証されるのか?
例えば、外壁や屋根が、何かの理由で凹んだとします。
その時、メーカーに保証してもらえるから大丈夫だと思っている人もいるかもしれません。しかし実際は、確実に保証されると言い切れないのが現状です。
各メーカーごとに保証対象になる条件が違う上に、シビアな部分が多いことがあります。ですから、保証の対象外になる可能性を十分注意しなければなりません。
実際の例を挙げてみると、
・台風や強風による破壊
・何か物が飛んでくるなど、不慮の事故
・施工業者の瑕疵によるものが原因で、塗膜の剥がれ・劣化のある場合
上記の内容などで、保証の対象外になる可能性があります。
単純に凹んだだけでは、保証対象にならない可能性があります。そのため、どの程度保証してくれるのか確認することが大切です。
なお、現場加工した場合も保証対象外になります。ガルバリウム鋼板の特徴は、「表面が錆びにくくなる」といういう点です。そのため、内部は従来通り錆びつきます。現場加工によってガルバリウム鋼板を切断等してしまうと、切断面の防錆効果が失われてしまうので注意しましょう。
初期費用が高い
ガルバリウム鋼板は、初期費用が高いというデメリットもあります。
実は、ガルバリウム鋼板は扱いが大変です。これは、基本的に薄いということが原因になります。
特に、外壁材や屋根材に使う場合が多い建材としては、とてもデリケート。そのため、施工中の取り扱いに気を付けないと、メリットが失われてしまう可能性があります。
たとえば、他の金属に接触すると、途端に錆びやすくなってしまいます。これを防ぐため、他の金属と接触しないように気を付けながら施工しなければなりません。また、湿気を全く通さない性質を持つのも特徴です。しかし、別の方法で湿気を逃がす工夫を行う必要があります。こういったように、様々な注意点があるのです。
このことから、ガルバリウム鋼板の施工には、優れた経験や技術が求められます。経験や技術が浅い業者では失敗してしまう可能性があるでしょう。また、施工中も様々な注意点がある以上、施工コストも高めに設定されていることがほとんどです。
また、屋根材にガルバリウム鋼板を使用すると、薄いからか雨音が響きやすくなる傾向にあります。そうなると、別途で防音対策も必要になるなど、さらに初期費用が高く。ガルバリウム鋼板を採用するのであれば、しっかりと見積もりを依頼しましょう。
メンテナンスコストが高め
ガルバリウム鋼板は、初期費用が高いです。その上、メンテナンスコストも高いのがデメリットです。
施工業者の中には、「メンテナンスフリー」というケースもあります。しかし、そんなことはありません。ガルバリウム鋼板は、定期的なメンテナンスを必要とする素材です。もしもメンテナンスフリーだという業者がいたら、その業者は何も知らない可能性が高いので、注意しましょう。
なお、外壁材や屋根材に、生涯メンテナンスフリーのものは存在しません。そのため、業者に依頼する時はこのことだけでも覚えておくと安心です。
ガルバリウム鋼板の耐用年数は、基本的に10年~20年とされています。しかし、メンテナンス次第では40年以上も延びる可能性もあります。
製品やメーカーによってメンテナンスの頻度は異なります。しかし、一般的なガルバリウム鋼板は、その性質から汚れが付着しにくいです。そのため、上から再塗装するのが難しくなります。塗装の乗りが悪いと、すぐに剥がれ落ちてしまう可能性が高くなります。その場合は、再塗装しなければならなくなるでしょう。
このことから、メンテナンスのコストが高くなっていきます。
特に起こりうる失敗が、経験や技術の浅い業者に依頼した場合です。塗料があまり定着しておらず、10年以上持つはずが、たったの数年で剥がれることもあります。
ガルバリウム鋼板のメンテナンスで再塗装を依頼する場合は、経験や技術が豊富な業者に依頼しましょう。
見た目の好みが分かれやすい
ガルバリウム鋼板を採用した場合の建物の見た目は、人によって好みが分かれやすい傾向にあります。
人によってはカッコイイと思うこともあるようですが、場合によっては安っぽく見えたり、倉庫のように見えたりすることもあるようです。
いざ施工が完了してから見た目が気に入らないと思うと後悔する可能性があるので、事前に完成イメージを見せてもらえないか業者に相談しましょう。
この記事のまとめ
ガルバリウム鋼板の特徴、メリットとデメリット
・薄い
・耐用年数が10年~20年(しっかりメンテナンスすれば40年以上)
・耐震性や耐熱性、熱反射率などが高い
・冷房効率も良くなる
・経験や技術が豊富な業者でないと施工するのが難しい
・初期費用、メンテナンスコストが高くなりやすい
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