外壁に木材を使いたいと思っている方は、注意すべきポイントがいくつかあります。というのも、現在では木材を外壁に使用することは少ないからです。
現在の外壁に使われるものは、以下のようなものが主流です。
・セメントが主成分の「モルタル(塗り壁)」
・窯で焼き上げたパネルをはめ込んでいく「サイディング」
しかし、木材を外壁に使用する人がいないというわけではありません。外壁に木材を使用することで、温かみのある優しげな空間を作り上げることができるほか、和風の雰囲気を持たせるにも最適だからです。
一方で、木材を外壁に使用するためには、素材を保護するための塗料が重要になってきます。
そこで、本コラムでは、木材の特徴と塗装について解説していきます!
木材を外壁に使う時のメリット・デメリット
まずは、木材を外壁に使用すると、どういったメリット・デメリットがあるのかを解説していきます。
自分の住宅に、木材の外壁を使用したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
【メリット】木の素材感を感じることができる
外壁に木材を使用すると、自然の温かみを感じることができます。それだけでなく、落ち着きや重量感などは、本物の木でしか味わうことのできない良さです。
現在は、木目調のサイディングなども販売されています。しかし、木の持つ本来の素材感は、やはり本物の木でしか感じることはできません。
家にいながら、自然を感じたい方にはオススメの素材といえるでしょう。
【デメリット】耐久性に欠ける
外壁には、雨・風・ホコリ・紫外線等が大きく影響します。しかし、木材はこれらの外的影響に弱いです。何も対策をせずにそのままにしておくと、いずれは腐ってしまいます。
これを防ぐためには、保護塗料を塗り、防腐対策や耐候性を高める必要があります。ですが、木材は塗装が難しく、塗装の効果も3〜5年ほどです。
対して、普及の多い塗り壁やサイディングは、1度塗装をしたら10年ほど効果を継続できます。これらの点を踏まえて、木材を外壁に使用するかどうかを検討しましょう。
木材への塗装が継続しない理由とは?
では次に、なぜ木材は塗装の効果が続かないのかを解説します。この原因は、木の持つ「調湿作用」が大きく関係することによるのです。
木は、呼吸をしていると言われています。このように例えられるのは、周囲の湿度に合わせ、空気中の水分を吸ったり吐いたりするためです。こういった「 調湿作用 」の効果を持つので、木材は家の内装に使用されることが多くなっています。この効果で、快適に過ごすことができるといっても過言ではないかもしれません。
しかし、調湿作用をしているとき、木は膨張と収縮が生じます。そして、木材によってその伸び縮みの大きさが異なってくることもあります。すると、塗装が木材の膨張・収縮についていけなくなってしまうのです。
こうして、塗料が木材の伸縮に耐えられなかった結果、塗膜のはがれ・ひび割れなどの問題が生じてしまいます。
木材用の塗料は何を使うべき?
上記では、木材の伸縮により、塗料のはがれやひび割れが生じやすいことが分かりました。では、木材を保護するための塗料としては、何を使うべきなのでしょうか?
ここからは、木材に使用できる塗料をご紹介します。この塗料は、造膜タイプと浸透タイプの2つに分けられます。
造膜タイプ
造膜タイプは、木材の表面に塗膜をつくる塗料です。そして、耐水性や耐久性が強いという特徴を持っています。耐久年数は6年ほどで、一般的なペンキ塗りはこれに含まれます。
造膜タイプのデメリットは、木目が見えなくなってしまうことです。これは、木材の表面に塗膜を作るために起こる現象で、せっかくの木の質感を失うことになります。
そのため、使用されるのは以下のような場合です。
・軒天など目につきにくい箇所
・ウッドデッキなど木目を失っても問題ない箇所
また、もう一方の浸透タイプよりも、はがれやひび割れが生じやすくなっています。そのため、はじめに行う下塗りが非常に大切です。塗り替える際には、劣化した部分をきれいにはがす必要があります。その際は、プロに依頼することをオススメします。
浸透タイプ
浸透タイプは、木材に塗料を染み込ませ、木材の内側から保護します。造膜タイプとは異なり、木材の表面に塗膜を作らない仕様です。そのため、木目が残り、木の質感を大切にすることができます。
反面、この塗膜がないという特性のため、耐水性や耐久性が低いです。結果、雨などによって塗料の保護効果がどんどんと失われてしまいます。そのため、3年に1度塗り替えることが必要です。
一方で、はがれやひび割れは生じにくいため、メンテナンスとして重ね塗りが可能になっています。このように、比較的扱いが簡単で、DIYなどがしやすいのが特徴です。
まとめ
外壁では、木を使用したものも存在します。しかし、適切な塗装をしないと木材が劣化し、建物全体に悪影響を及ぼす原因となるでしょう。
ここで、「木材の塗装なら自分でも簡単にできそう」と思ってしまうかもしれませんが、塗料の扱いは難しいことが多いです。特にDIYの場合は、プロが行う場合と異なり耐久年数は期待できず、定期的な塗り直しが必要になるでしょう。木材は1度劣化してしまうと、塗料を塗り直しても効果がない場合もあります。その際は、迷わずプロに相談してください。