外壁塗装には、様々な種類の塗料があります。なぜなら、外壁塗装において、塗料の種類は外観だけでなく耐久性やメンテナンスのしやすさにも影響を与えるからです。
その中でも今回は、艶消し塗料について説明していきます。ここでは、艶消し塗料のメリット・デメリット、選ぶ際のポイントについて詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
艶消し塗料とは
艶消し塗料とは、光沢を限りなく抑えたマットな質感を持つ塗料です。
というのも、基本的に、外壁塗装に使用される塗料には光沢があります。いわゆる「艶のある塗料」です。
その逆の性質を持つ艶消し塗料は、マットな質感で独特の落ち着いた雰囲気、高級感を与えてくれる塗料となっています。
そんな艶消し塗料ですが、あまり見たことがない方もいらっしゃるでしょう。
具体的にどういう塗料なのか、解説します。
塗料のツヤは「光沢度」で決まる
では、艶消し塗料はツヤのある塗料とどう異なるのでしょうか?
実は、塗料の「ツヤあり」「ツヤなし」といった基準は、塗料業界で一般的に「光沢度」によって決められています。「光沢度」とは、モノの表面に当たった光が正反射したその程度を表す量のことです。
一般的に使用される「ツヤあり」と呼ばれる塗料は、光沢度が70%以上の塗料が多いです。次に、約60%の「七分艶」、約35%の「三分艶」……と、光沢度が減っていきます。
そして、「艶消し塗料」は光沢度が5%以下の塗料とされています。
そもそも、艶消し塗料とは、もとからツヤのない塗料だったわけではありません。実は、艶消し塗料の多くは、ツヤのある塗料に、艶消し剤であるポリエステルやアクリルなどの微粒子を混ぜているのです。こうして目に見えない程度の凹凸を作ることで、光沢度を減らしています。
イメージとしては、鏡などの「ツルツルした面」を持つものを想像するとわかりやすいです。
こういうツルツルしたものは、光を反射しやすく光沢があります。しかし、その表面が凸凹してたり汚れていると、光が反射しにくく光沢も現象しますよね。
こういった原理で生まれる「艶消し塗料」ですが、使用したい塗料によっては、最低でも三分艶まで、というものも存在します。
全くツヤのないマットな質感を求める場合は、艶消し仕様があるかを確かめる必要があります。
艶消し塗料のメリット
①高級感ある落ちついた外観になる
艶消し塗料はマットな質感から、高級感のある落ちついた外観にすることができます。
周囲の景観と調和しやすく、特に和風のお家とよく合います。
②劣化現象が分かりにくい
塗料の劣化現象の一つに、「チョーキング現象」というものがあります。これは、 ツヤがなくなり、外壁が粉っぽくなるという現象です。
しかし、艶消し塗料を使っていれば、はじめからツヤが無い状態となります。そのため、劣化現象が周りから分かりづらくなるのです。
この反面、自分たちからも劣化現象が分かりづらくなってしまうため、定期的なメンテナンスを怠らないように心がける必要があります。
艶消し塗料のデメリット
①耐久性の低下
艶消し塗料は、通常の塗料のツヤを消すために、艶消し材を混ぜた塗料です。
この艶消し材を混ぜると、通常の塗料の性能がやや落ちてしまうため、艶がなくなる代わりに塗料の耐久性が落ちてしまうことになります。
また、艶消し剤に含まれる凹凸が、汚れの付着率を高めることにもなります。
こういった外壁の汚れは、放置していると、塗膜を劣化させる原因の一つとなってしまいます。
そのため、劣化が通常よりも早くなり、耐久性も劣る可能性があります。
②汚れが付きやすい
塗装材に艶があると、表面がツルツルなので、砂埃や排ガスなどの汚れが付きにくくなります。しかし、艶消し塗料は表面に凹凸を作って生成されるため、こうした汚れが付着しやすくなる可能性が高いです。
また、ツヤがある場合は、雨によって汚れが流れ落ちてくれる場合もあります。しかし艶消しの場合は、表面の凹凸が汚れの流れ落ちる道の邪魔をしてしまい、自然の力で綺麗にすることが叶わない場合もあります。
そもそも汚れが目立ちにくいので、この点が気にならない場合もあります。しかし、他のメリット・デメリットも併せて、十分に検討すべき点だといえるでしょう。
③価格が高くなる
艶消し塗料は、ツヤありの塗料に艶消し材を混ぜて生成される塗料です。
その分、通常のツヤあり塗料に比べ、価格がやや高くなってしまいます。
艶消し塗料には、以上のようなメリット・デメリットが存在します。
艶消し塗料を選ぶ際には、その塗料の特性をしっかり知ったうえで検討するようにしましょう。
それでは次に、艶消し塗料を選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
艶消し塗料を選ぶべき場合のポイント
①艶消しがオススメなのは【和風の家】
ご紹介してきた「艶消し塗料」がオススメなのは、【和風の家】です。
というのも、艶消し塗料には落ち着いた雰囲気を与える効果があります。もちろん、和風の家にツヤありの塗装をしても問題ないですが、ツヤが落ち着きのない印象を与えてしまうこともあるでしょう。せっかく雰囲気を大切に建てた住宅なので、外壁も雰囲気を合わせて艶消し塗料を使用することがオススメです。
一方で、上記のようなメリット・デメリットをふまえ、艶消し塗料を使用しない場合には、ツヤの少ない三分艶などで塗装するのも一手といえます。
②ツヤありは【耐久性や性能面を考慮する場合】にオススメ
艶消し塗料はツヤありの塗料に比べ、汚れやすさや耐久性の面で性能を発揮しにくくなります。
そのため、汚れにくさや耐久性に不安がある場合は、ツヤありの塗料を使用することをオススメします。
しかし、ツヤがある塗料も経年劣化は起こりますし、必ずしも高耐久であるということはありません。
どちらにせよ大きな金額がかかることに変わりないため、自分が納得できる方法で塗装するとよいでしょう。
まとめ
艶消し塗料は、その特有の質感から、落ち着きのある雰囲気を与えたり、建物の外観を一新させる魅力があります。
一方で、耐久性や汚れに対する注意が必要となる塗料でもあります。
様々なメリット・デメリットを確認し、選ぶことが大切です。
艶消し塗料を使用したいけれど不安のある場合は、「艶消し剤を混ぜることなく、最初から艶消し処理をされた塗料」も登場しています。こちらを使用することで、通常のツヤあり塗料と差異無く外壁塗装を行うことができるでしょう。
この記事が、外壁塗装を検討している方にとって、艶消し塗料を検討する参考になれば幸いです。