こんにちは!ふくぞうペイントです。
今回は、外壁の見積書の中でよく見かける、「シーラー」について解説していきます!
外壁塗装をご検討中の方は、「シーラー」という単語を、外壁塗装の見積書で、1回は目にしたことがあると思います。
しかし、実際には「シーラーってどんな作業をするの?」「本当に必要な作業なの?」と考えているのではないでしょうか?
そこで、「シーラー」とは実際どういうものなのか?という疑問を解決できるよう、以下に沿って解説をしていきます!
前回は、「ケレン」について紹介しています。こちらもぜひご参考ください。
1:シーラーとは
まず、「シーラー」を説明するにあたり、知っておくべきことがあります。
それは、外壁塗装は、一般的に「下塗り・中塗り・上塗り」と3回重ね塗りをすることです。
多くの皆さんが塗装と言われて思いつくのは、色を付ける「上塗り」の工程だと思います。
しかし、「下塗り」と「中塗り・上塗り」で使用する塗料は異なり、シーラーが使用される工程は、「下塗り」となります。
つまり、シーラーとは、「下塗に使用される塗料」のことを指します。
「シーラー」の語源
シーラーの語源は「接着する・覆う・ふさぐ・密封する」などの意味を持つ「seal(シール)」という英語から来ています。
効果としては、塗装面と中塗り・上塗り塗料との密着性を高めることが期待されています。そのため、下地(=外壁や屋根)に吸い込ませて使います。
そうすることで中塗り・上塗りに使用する塗料が、下地に付きにくくなることが見込めます。
中塗り・上塗りの塗料が下地に着くと、色ムラの原因になってしまいます。そのため、色ムラ防止につながるのです。
シーラーをしっかりと役立てるためには、下地の種類や状態、シーラーの上に塗る塗料との相性も考慮し、適切なものを選ぶことが大切です。
2:シーラーの種類
シーラーには、大きく分けて<水性タイプ>と<油性タイプ>の2つがあります。
水性タイプ
水性タイプは、劣化が少ない下地への使用に効果的です。
特徴として、
- 屋根や外壁に浸透した後、水分が蒸発して、塗膜を形成する
といったものがあります。
そのため、上記の理由から、屋根や外壁が弱い状態(劣化の激しい状態)の場所に施工することはオススメできません。
というのも、劣化が激しい場所に施工してしまうと、その場所がシーラーをうまく吸収しきれず、結果的に補強効果が低くなる可能性があるからです。
しかし、水性タイプは臭いが少ないことが特徴です。
この特徴を活かして、以下の場合に適しているといえます。
- DIY初心者の方
- 塗料の臭いが気になるため、抑えたい方
- 室内を塗装する場合
また、塗装工事を行う際は、シーラーと同じタイプの上塗塗料を使うのが基本となっています。
そのため、水性タイプのシーラーを使用した場合には、上塗り塗料も水性塗料を一緒に使うのが一般的です。
上塗り塗料も同じタイプなら大丈夫ですが、もしかしたら違うタイプ、ということがあるかもしれません。
しかし、商品によっては、油性塗料が使える場合もあります。そちらの場合は、塗装業者に一度確認を取ることをお勧めします。
油性タイプ
もう一つの<油性タイプ>は、劣化の激しい塗装面にも施工することが可能です。
この油性タイプのシーラーは、
- 含まれている成分が揮発して塗膜を形成
- 屋根や外壁によく染み込み、短時間で乾く
- 補強効果に優れる
などの特徴をもっています。
デメリットとしては、水性タイプよりも臭いが強いところと、自分自身でDIYに油性シーラーを使用する際は、取り扱いにとても注意が必要になるところです。
機能性シーラー
【ヤニ止めシーラー】
名前の通り、タバコのヤニやシミに効果的なシーラーです。
臭いが少ないため、室内の壁や天井の塗り替えに使用します。
【カチオンシーラー】
カチオンシーラーは、外壁・内壁に使用できるシーラーです。下地に浸透するタイプと、被膜を作るタイプがあります。
また、浸透性・密着性・経済性にも優れていて、適用範囲が広いのが特徴です。
【コンクリート強化シーラー】
コンクリート強化シーラーは、コンクリートやモルタルなどの下地を強化するためのシーラーです。表面を固めて塗料の吸い込みを抑えることで、耐久性に優れ、ホコリ等の発生を予防する効果があります。
このように、シーラーの中にも種類があり、状況によって選ぶタイプが変わっていきます。
シーラーとプライマー、フィラーの違い
下塗りに使用される塗料は、実はシーラーだけではありません。「プライマー」「フィラー」という塗料も用途によって下塗りに使用されます。
この2つが、シーラーとどういう違いがあるのか見ていきましょう。
【プライマー】
プライマーの語源は、「最初の」などの意味を持つ「primary(プライマリー)」という英語からきています。
つまりは、最初に使用する塗料ということです。
プライマーの中には、サビの発生を抑える効果が期待できる、防錆プライマー(錆止め塗料)などの種類があります。それらは主に、金属への塗装を行う際に使用されます。
このため、プライマーでなく「錆止め」と呼ばれる場合もあります。
プライマーの主な役割は、接着剤のように塗装面と中塗り・上塗り塗料との密着性を高めることです。外壁や屋根に、下塗として塗っていきます。
この<プライマー>と<シーラー>の違いは、ほとんどないと言われています。強いて言えば、プライマーは塗装面に塗ることで機能を持たせる働きをし、シーラーは下地(=外壁や屋根)に吸い込ませて機能性を持たせる働きがあるといわれています。しかし、シーラーとプライマーは、役割的にはほぼ同じといってもよいです。
【フィラー】
この<フィラー>の語源は、「詰め物・埋めるもの」などの意味を持つ「filler(フィラー)」という英語からきています。
こちらは、主にモルタル外壁に使用することが多い下塗りに使用する塗料です。
モルタル外壁は、乾燥や振動などといった様々な理由から、クラックと呼ばれる細かいひび割れが生じやすいという特徴があります。そのため、フィラーが持つ「微弾性」と呼ばれる性質がモルタルのひび割れを埋めるのに有効なのです。この場合に使用するフィラーのことを「微弾性フィラー」と言います。
フィラーは、モルタルのひび割れや凹凸の補修をし、下地表面をきれいにする効果と、接着剤のように塗装面と中塗り・上塗り塗料との密着性を高める効果を持ち合わせています。
また、フィラーは水性タイプのみとなります。
3:シーラーの役割
続いてシーラーが持つ役割について説明していきます。
主にシーラーには3つの役割があります。
① 塗装面と上塗り塗装を密着させる
外壁・屋根塗装は3回に分けて行われますが、中塗り塗料や上塗り塗料には密着性が付与されていません。そのため、密着度が弱いままだと、塗膜が剥がれるなどの劣化が起こりやすくなってしまいます。
そこで、密着性を持つシーラーを間に挟むことで塗装面と中・上塗り塗料との接着剤のような役割をし、密着性を高める役割があります。なので、シーラーの塗りが甘いと、塗装がはがれたりするなどの劣化しやすくなり、長持ちもしません。
逆に、シーラーをきちんと塗装することで塗装そのものの耐久性を高めることや効果を長持ちさせることが可能です。そのため、塗装をきれいに長持ちさせるためにもシーラーは重要といえます。
② 上塗り塗料の吸い込みを防止する
もしも、シーラーを塗らずにいたとします。
その場合、下地処理を怠って、直接上塗り塗料を施工するということになります。
この場合、塗料は下地に染み込むことになります。すると、壁が各面で同じ劣化状況というわけではありませんので、場所によって染み込み具合が変わり、ムラになってしまう可能性が発生するのです。
また、表面に塗料が乗っていないため、塗料本来の耐久性や効果も発揮されず落ちてしまいます。
そんなことにならないためにも、シーラーを塗ることが大切です。
シーラーが下地に固まって、上塗りの塗料が表面にきちんと乗り綺麗に仕上がります。そのためにも、シーラーを塗ることは大切といえます。
③下地(=外壁や屋根)の補強効果と調整
シーラーは外壁や屋根の中に浸透し、塗膜を形成するため、劣化した下地を補強する役割も備えています。
劣化状況によりますが、屋根や外壁には、細かいひび割れなどが起こっている場合もあります。そんなときに、シーラーを施工することで、細かいひび割れを埋めて下地を補強させることができるのです。
こうして塗装面を調整することで、仕上げ塗料の本来の効果を発揮することが可能となります。
しかし、シーラーは塗装面の劣化状況によって使用するタイプが違うので、塗装工事の際には業者に判断してもらうことをお勧めします。
※ひび割れの幅により、シーラーとは別に補修材での下地調整をすることがあります。
4:シーラーをしないとどうなる?
上記までに記述した内容を、耐久性と仕上がりという二つの面でまとめました。
① 耐久性への影響
- 中塗り・上塗り塗料には密着性がない
- シーラーを使用しないと、密着力が低下して剥がれの原因となる
- 塗膜がはがれてしまうと、外壁本体に影響が出る
- 良い塗料で施工しても、機能性や耐久性が十分に発揮できない可能性がある
外壁塗装・屋根塗装は、決して安い買い物ではありません。
そのため、こういった点を十分考慮して、使用する商品を決める必要があります。
② 仕上がりへの影響
シーラーをしっかり塗ると……
- 仕上げ塗料のカラーをより鮮やかに見せることが可能
- 仕上げ塗料が下地に吸い込まれて塗りムラが発生することを避けられる
など、良い影響が多いです。
5:まとめ
シーラーは外壁塗装において、とても重要な工程ということが分かっていただけたでしょうか?
仕上りでも、耐久性でも、下地が大切になってきます。
シーラーは下地と塗料をつないでくれる大切な存在です。そのため、絶対に省くことができない重要な作業でもあります。
もし見積書に入っていなかった場合は一度確認してみてくださいね。
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